日本公開後のゴタゴタ
昨日「主戦場」を見に行った。(横浜ジャック&ベティ)本日から何回かに渡って思ったことを綴っていく。その前に、つい先日主戦場に出演していた”歴史修正主義者”数名から提訴があったのでその件も含め、これまでのちょっとしたゴタゴタを載せておく。
日本では4月20日に渋谷のシアター・イメージ・フォーラムで上映が開始された。劇場はすぐに連日満員となりGWも大盛況だったようだ。
これに焦ったのか知らないが、劇中で”歴史修正主義者”と表現される人々がミキ・デザキ監督に「商業映画に使われるとは聞いてないよ~」とダチョウ倶楽部ばりに駄々をこね始めたのだ。そして5月30日”歴史修正主義者”の数名が都内で抗議の会見を開き連名で中止を求めるに至った。
ならばと、ミキ・デザキ監督はYouTubeで反論をした後、6月3日こちらも都内で会見を開いた。
ついには6月19日(水)藤岡信勝、藤木俊一、山本優美子、ケント・ギルバート、トニー・マラーノらの5人はミキ・デザキ監督と映画を配給している東風に対し、上映中止と名誉を傷つけられたとして1,300万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴したのだ。ちなみに、上記5月30日の抗議には櫻井よしこと加瀬英明の名前もあったのだが今回の提訴には名前がない。
皆はこの一連の流れをどのように考えるだろうか。
あれ?なんでこんなに叩かれてるの?
私が思うに、提訴した彼らはこんなに叩かれると思っていなかったのだと思う。「え?叩かれるに決まってるじゃん」と私も思う。しかし、映画を見ればわかるが彼らは彼らが正しいと思い込んでいる。
さらにたちの悪いのがSNS全盛のこの時代。彼らは彼らを応援する極一部の人(それでも数万人以上はいるのであろう)に、日頃からもてはやされチヤホヤされ、彼らの過激な発言が”いいね”や”拡散”を呼び仲間内で担ぎ上げられる。
自分と意見が違う人の著書も読まないし(映画内で加瀬英明は明言)、ひたすら腐して叩くだけなのでそのうちに本来彼らも持っていたはずの、人権感覚や他人を思いやる心が薄れてしまったのだろうな。哀れな人たちよ。
私も気を付け続けなければいけない。好きな思考の情報ばかりでなく様々な情報に触れて行かなくてはならないと、戒めにもなる良い映画だ!
思った以上に「主戦場」を歓迎するムードの報道ばかりだったので、焦ったのだろうね。とともに、自らの支持者に対するポーズもあるだろうね。しかし、ケント・ギルバートなんて慰安婦のことを売春婦だって断言してたんだよ。とんでもない野郎だよ。全米公開してやってほしいくらいだ。 カリフォルニア州の弁護士らしいけど誰を弁護しているのだ?藤木俊一やトニー・マラーノか? そしてこれは何だったのだろうか。
慰安婦だったと名乗り出るのは勇気がいること
冒頭2015年の日韓合意から始まり、韓国で元慰安婦のイ・ヨンスさんが韓国の外相と思われる人物に猛抗議している場面から始まる。「誰に対する合意なんだ!お前は誰なんだ!私たちは朝鮮の娘だ」と泣きながら訴えていた。やりきれない怒り。
一連の映像の中で韓国で元慰安婦が名乗り出たのは1991年だという紹介があった。戦後46年目にして初めてのことであった。これほどまでに名乗り出なかった要因の一つには、映画の中でも触れられていたが韓国社会における行き過ぎた家父長制があるだろう。誤解を恐れずに言えば男尊女卑。昔は本当にそうだったらしい。私のハンメ(婆ちゃん)は言っていたよ。私は行き過ぎた年上を敬え精神が良くないと思っている。
そんな社会的背景がなくても、そもそも自分が慰安婦だったということを名乗り出ることがどれほど勇気のいることか。だって、そうでしょう。自分の家族にだって迷惑がかかるかもしれないではないか。戦後まもなく慰安婦でしたと名乗り出れば、殺されるかもしれなかったと思うんだ。 不寛容、日本憎しが行き過ぎていた、当時の韓国社会も悪いと思うけど。名乗り出にくい空気はあっただろうから。
国家というものは謝ってはいけないby藤岡信勝
名乗り出るのが遅すぎて元慰安婦だった少女は年を取り、記憶も曖昧になっているのであろう。全体としては自分の自由がなかったという主張はあっているのに、ちょっとした発言の差異を杉田水脈はだいぶ責めていた。「慰安婦の証言しか証拠がない」なんて言っていた。杉田の主張も誰かからの伝聞で証拠も何もなかったけどね。
改め「謝らない国家推進委員会」名誉会長
藤岡信勝氏のtwitterより
何故、「慰安婦は強制ではなかった、彼女たちも自由があった」などという戯言を主張できるのであろうか。映画を見ながら怒りも沸いたし、悲しみも沸いた。涙が流れそうになったのは、新しい歴史教科書を作る会副会長の藤岡信勝が「国家というものは謝ってはいけない」と発言した後に挟まれた、アメリカ合衆国第40代大統領レーガンによる日系アメリカ人への謝罪の場面であった。映画で詳細は描かれていなかったのでここに記す。
レーガン大統領は1988年「市民の自由法」(日系アメリカ人補償法)に署名した。「日系アメリカ人の市民としての基本的自由と憲法で保障された権利を侵害したことに対して、連邦議会は国を代表して謝罪する」として強制収容された日系アメリカ人に謝罪し、現存者に限って1人当たり2万ドルの損害賠償を行ったのである。また、日系アメリカ人や日本人に対する強制収容についての教育をアメリカ国内の学校で行うために、総額12億5千万ドルの教育基金が設立された。
映画では言及されていなかったが、アメリカは1992年にもパパブッシュ(ジョージ・H・W・ブッシュ)大統領が国を代表して謝罪すると同時に、全ての現存者に2万ドルの賠償金が行き渡るように4億ドルの追加割り当て法に署名し成立させたのだ。
教科書問題の詳細は次回以降に書いていこうと思うが、簡潔に述べておくと「国家は謝ってはいけない」と主張する藤岡信勝らは、中学校で使われる歴史教科書から従軍慰安婦の記述を1997年以降削除するよう要請し、現在教科書から従軍慰安婦の文字は消えているのである。今の教科書は検閲されているようなものなのだ。
家にある史料を再度読み込んでいる。映画の内容を思い出しながら自分の考えも整理しvol2を書くことにする。
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