曇り空はどことなく物憂げで
彼の心を閉ざして行く
僕たちを繋ぐあの橋に
思いを馳せる人もいた遠い過去
パンくずを放り投げてはつままれている
赤い頭巾を被るのが歴史の定め
愚者と呼ばれるのが嫌ならば
マンホールにでもなればいいんだ
煙草を吹かす母親の唇には
子育ての激務を物語るひび割れ
かぎっ子の少年は瞳を閉じることなく
床に寝ころびただ天井を見つめる
大筒の巨大な口径が
高台の上から君を狙っている
逃げ惑う人々の光景は
君が描く地獄よりも地獄だ
行状を改めることのない
時の権力者は3日後に
籠城することを決意する
握った拳の中は空洞だ
「誰が来ても扉を開けるな」
そう言い聞かされた子どもたちは
助けが来ていることすら気付けずに
底知れぬ哀感に包まれるばかりだ
片流れ屋根の頂上に
美人なハクビシンが座っている
てっぺんから滑り落ちないよう
バランスを取りながら座っている
花となって生を享けたら
皆に愛でられながら
その一生を全うし
害獣となって生を享けたら
忌み嫌われながらでも
その一生を全うする
花と害獣の一生に
どのような差があるのだろう
ただ流れ行く明星に飛び乗るだけだ
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