最悪な一日

登山せず

このHPを読んでくれている人やYouTubeを見てくれている人、またtwitterをフォローしてくれている人は驚くかもしれないが本日登山せず帰ってきた。

武田邦彦氏によるヘイト

CBC放送ゴゴスマからの一幕。本当に酷い、事前知識としてこの事実を認識しておいていただきたい。韓国で起きた日本人女性が韓国人男性に暴行されたことに対する武田氏の発言。

武田邦彦「路上で、日本人の女性観光客をその国のね、訪れた国の男が襲うなんてのはね、こらあもう世界で韓国しかありませんよ」
「そらあ日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」
TBS『ゴゴスマ』
周囲の出演者が否定しても放送で流れたヘイトは消すことができない。 pic.twitter.com/VKIn2EQ3SV

— れもんた (@montagekijyo) August 27, 2019

武田氏は「韓国の大統領から政治家からマスコミから反日的な雰囲気を作ったから起きたこと」とも述べている。ソックリそのまま「韓国」を「日本」に、「反日的な」を「嫌韓を煽る」に置き換えることも出来るし、貴方は嫌韓に加担しているではないか。

MCの男性も「先生言いすぎ」とたしなめるだけ。「武田謝罪の後今すぐ帰れ」くらい言えないものなのか。ヘイトに関する意識が微塵もないのがよくわかる出来事だった。

ヘイト発言で始まる休日

昨日友だちだと思っていた人（以降Aと表記する）が川崎駅まで来てくれると言ったので駅まで車で迎えに行った。五分ほど遅れてしまったがAを車に乗せ、東京都日野市にある「日野市立新選組のふるさと歴史館」へ向かった。初めて訪れたのだが、貴重な史料がたくさんありとても良い場所だった。ただ一人の差別主義者を除いては。

館内には解説ガイドの人（以降ガイドと表記する）が居た。このガイドが後にとんでもないヘイト発言をする。私たちは順路に沿って展示されているものを見ていた。「桜田門外の変」に関する史料の辺りにガイドは居た。すると私たちに「何か聞きたいことないですか？聞かれないとこちらも話せないんですよ」と話しかけてきた。この時点でガイドだと認識した。Aが対応していたので、私はガイドと会話をすることもなくそこら辺の展示物を見ていた。ガイドの説明をAと後から来た知らないおじさん（以降おじさんと表記する）が聞いていた。

ガイドは「桜田門外の変」の錦絵を見ながら通説で言われていること、それに対して自身の考えを述べていた。「歴史は勝者が書いているからそのまま信じるのは云々」と言った後、突然「韓国の歴史は捏造だらけ。しかもあの人たちは整形ばっかしている」と謎のヘイト発言をした。これにおじさんも同調し、「嘘だらけだよな」などと言っているのを私は少し離れて聞いていた。

ガイドが言って良いことではないと思い、私はガイドたちの方へ歩きながら「もう一回言ってくださいよ、今何て言ったんだ。貴方のような大人が多いから苛めはいつまでもなくならない」と詰め寄った。するとガイドは「すいませんでした」と言ったが、私は「ガイドの立場で言って良いことだと思っているのか」と続けて訊ねた。ガイドは何も言わず、Aは「まぁまぁ」と言い、おじさんは黙ってみていた。

当然怒りは収まらず受付の人に事情を話した。しばらくすると館内の責任者と思われる方（以降責任者）とガイドが話をしているのが見えたので、そこへ行きガイドに「もう一度さっきの発言を目の前で言ってくれよ録音しておくから」と言うと、「いえ無理ですごめんなさい」と言われた。責任者が謝って来たので改めて想いを伝えた。「私も個人が色々言う分にはこちらから話しかけて文句は言わない。またガイドにも考えの自由はあると思う。ただガイドであの発言はどうなのか。向こうから話しかけてきて、何故突然ヘイト発言を聞かされなくてはならないのか。今後も館内に足を運ぶ方に対して同じような発言を繰り返すかもしれない。必ず月曜日市役所に電話して抗議する」と伝えた。そしたらおじさんがやってきて「何文句言ってるんだ」と言ってきたので、「韓国の歴史が捏造だらけ、整形ばっかしていると言っていたから抗議している」と伝えると「嘘だらけじゃないか」と言われたので「具体的に何が嘘だと思うのですか」と聞くと「三韓時代は嘘じゃないか」とおじさん。「確かに三韓時代のことで真実かどうかわからないこともあるでしょう。では貴方は天皇の欠史八代についてどう考えているのか、そして日本書紀に書かれていることは全て真実だと思っているのですか？」と聞くと何も答えてくれなかった。

言うべきことは伝えたので展示室へ戻り一通り見て、日野宿本陣へ向かった。道中Aに「怒りすぎだよ」と言われたので改めて私の想いを伝えた。「あの人はガイドなんだよ。今後もあのような発言をして良いわけないでしょう。彼が心の中で思うのは自由だよ」するとAは「そうだね」と言った。「多くのメディアが対立を煽りヘイト発言をするコメンテーターを起用し、きちんと謝罪もしない。関東大震災の時、憲兵や自警団が朝鮮人をたくさん殺した。その時日本人も、朝鮮人と疑われて殺されたりしている。このまま対立が煽り続けられると、またそのようなことが起こらないとも限らない。だから抗議は続ける」と伝えた。

日野宿本陣には新選組の隊士が集まっていたようで、現在の駐車場が道場だったことなどを教えてもらった。ここでは特にトラブルはなかった。

一つ確認しておこう。ガイドには私たちから話しかけていない。私が韓国系日本人ということはAを除いて誰も知らない。誰も韓国の話題なんて出してないのに突然のヘイト発言。おじさんは同調。これに対する抗議。A曰く怒りすぎ。

飯能でもヘイト「文句があるなら帰れば良いじゃん」

私が何をしたと言うのだろうか。

飯能まで車を走らせ一時間位で到着した。道中Aが泊まる宿を予約してくれた。チェックインを済ませ、駅前へ。お酒を買って適当に話をしながら街をフラフラ歩いた。そして良さそうな店を発見したので入ったのだが、これが後に大きな揉め事に発展するきっかけだった。とても良いお店だったし店員さんも良い人だったので、お店の名前は伏せておく。

中に入るとカウンターにおじさんが二人。私たちが入るなり話しかけてきた。私もAも楽しい会話をするのは嫌いではないので、にこやかに受け答えしていた。二人のおじさんは終始話しかけてきた。店の近くにカラオケも歌える系列のお店があるからそこへ行こうとずっと誘われていた。しばらくしてAとそのお店へ行った。

入ると先ほどお店で会ったおじさん二人が居た。さっきの店で名刺を渡していた。そこには私の名前、このページのことが記載されている。一人のおじさんが「韓国についてどう思う？いつまでも謝罪しろとか言ってるけどどうなの？」と聞いてきた。「政権与党に杉田水脈のような人が居ること。また、謝罪はしたと言うものの政権はヘイトスピーチを許しているし、人々を嫌韓へと扇動していると思う」と答えた。その後も色々おじさんと話した。おじさんは韓国に対して否定的なことは言ってきたが、いわゆる属性差別のような発言はなかったと思う。

おじさんが帰った後今度はAが政治の話をふってきた。私は関東大震災の際に起きた悲痛な出来事が繰り返されるかもしれないこと、有志連合の話、自民党憲法改正案の危険性について話した。後、モリカケ問題のことにも触れた。するとAは「加計学園」の件では安倍首相は感謝されていると言った。

私は冒頭の武田邦彦氏の発言を見たか尋ねた。Aは見ていないと言った。見てほしいと伝えたら「明日ね」と。歴史認識の話をしているうちに、安倍首相の祖父であり元首相の岸信介は満洲で一財産築いたがA級戦犯として巣鴨プリズンに収容される。しかしCIA工作員として釈放され首相になり日米安保を改定したことは知っているのか尋ねた。Aは知らないと言い、証拠を出せと言われた。なので私はそのことが出版されていることと、ネットから閲覧できる情報を見せた。

Aは私が見てほしいと言い続けた武田氏の動画も、関東大震災の際の惨劇も最後まで見てくれなかったが。

その後Aに言われたこととそれに対する私の返答を淡々と載せていく。お互い記憶も曖昧なまま長時間話した。確実に覚えている発言だけ載せる。

A・そんなに文句ばっかり言うのなら韓国に帰れば良いじゃん。

ー・帰るも何も日本産まれだ。向こうには家族も友だちも居ないし日本が嫌いとは一言も言っていない。私たちのようなマイノリティに対するヘイトを政府が容認したり、メディアで放送するのはおかしいと言っているだけ。

A・アメリカだってヨーロッパだって移住すればいいじゃん。

ー・そんなに簡単に行けないし、お金もないよ。

A・それはちゃんと調べてないんだよ。

ー・何故出て行かないと駄目なの？

A・（共通の友人）だって文句言うなら出ていけって言うよ。皆嫌なことは何かあるよ、文句言いすぎだよ。俺だって悩んでいることあるよ。アメリカはもっと差別酷いでしょ。俺だって今韓国に行ったらボロクソ言われるよ。

ー・属性差別だけは許せない。嫌なことが皆にあると言うのはわかるけど、ヘイトとは別問題。良ければ悩んでいること教えてよ。何故韓国系日本人だと言うだけでここまで言われないといけないのか。アメリカも差別酷いと思うけど、だから我慢しろと言うのは意味がわからない。何の関係があるのか。韓国でボロクソに言われたの？

Aは直近韓国に行っていないしボロクソにも言われていないけど、言われると思うと言ってきたので、「私たちは現在進行形で言われているんだけど」と伝えた。途中Aは「ごめん」と何度か言ったが、「嫌なら出ていけ」は結局最後まで言われた。私の産まれ故郷は川崎区だ。どこに帰れと言うのだろうか。例えば、東京で産まれても両親が外国籍だとその子も外国籍だけどそういった子たちにも「嫌なら出ていけ」って言うの？と聞くと「そうだ」と答えた。

私は「先進国を名乗るならヘイトはダメだよ」と伝えたがAは「それは無理だよ。だって日本だもん。苛めも差別もなくならないよ」と答えた。「嫌なら出ていけ」もショックだったが問題に向き合おうとしてくれないこの姿勢にはとても悲しくなった。友人だと思っていた。全ての意見は一致しなくても、少しは気持ちを考えてくれるのかと思っていた私が浅はかだった。とても悲しく少し涙がこぼれた。

また冒頭の「日野市立新選組のふるさと歴史館」 でのガイドに対する抗議にも、「怒りすぎ、スルーしたり他にもやりかたあっただろ」と言われたので、ガイドという立場を考えるとスルーはできない。どうすれば良かったのか尋ねると「俺に相談するとか」とAは言った。貴方は傍観者だったではないか。

何だか今まで友人だと思っていた様々な人も、一枚皮をめくってみればこれほどまでに悍ましいのかもしれないと考えると身震いする。私が一体何をしたと言うのだろう。何故韓国系として産まれたばかりに、ここまで言われなければならないのだろう。Aは「ヘイトされる方にも問題がある」とも言い、「韓国人が劣っているってこと？」と聞くと「うん」と答えた。どこが劣っているからそう思うのか聞いても、明確な答えはなかった。

Aは繰り返し私に「気にしすぎ、意識しすぎ、スルーしよう」と前向きとも思える発言もしてくれた。私は武田氏の動画を見てほしいことや、地元川崎では桜井誠率いる日本第一党により「朝鮮人は帰れ、朝鮮人を射殺しろ」とヘイトスピーチを垂れ流され続けてきたこと、当事者として危機感を持っているからヘイトは許さないと伝えた。また、武田氏の発言や桜井誠率いる「日本第一党」の動画を見てほしいと訴えた。そのうえで私が意識し過ぎなのか考えてほしかったからだ。しかしAは「明日ね」と言うばかりで見てくれなかった。

Aは最後に「被害者意識が強すぎる、被害届けでも出せば」と吐き捨てた。ヘイトを取り締まる条例がようやく川崎市だけで決まりスタートする準備中だというのに、日野市と飯能市で受けたヘイトはどこに被害届を出せばよいのだろうか。

こんなに酷いことを言い続けてくる人と友でいたくもないし、一緒に泊まって登山もしたくないので帰ると伝えた。部屋まで荷物を取りに行き、私は車の中で朝まで寝て帰ってきた。Aは電車で帰ることになった。申し訳ないなと思ったが、繰り返し「嫌なら出ていけ」と言ってくる人と一緒に行動したくないので仕方がない。

自分の大切な人がマイノリティに属する人だと考えてほしい。属性だけを理由に国会議員である杉田水脈が平然と暴言を吐いたり、メディアは連日憎悪を煽り、SNSではヘイターの発言に数万の”良いね！”がつく社会。こんな社会は嫌だから、それに対して声を大にして抗議をするのは被害者意識が強すぎるのか？属性だけでヘイトされても仕方がないのか？Aの「だって日本だもん。苛めも差別もなくならないよ 」を思い出す度寒気がする。