PISA2018調べ
PISAとはOECD(経済協力開発機構)加盟国による国際的な生徒の学習到達度調査のこと。現在のOECDへの加盟国は36カ国だ。2000年以降3年毎に調査していて、対象は15歳から16歳の生徒である。色々な調査項目がある。日本は2000年度の数学的リテラシーでは1位だった。それ以降順位を下げているものの、数学的リテラシーでは毎回ベスト10に入っている。
そんなPISAの2018年調査結果の中で気になる項目があった。ノートPCの使用に関することだ。
一方PCの普及率は極めて低い。本日のアイキャッチは自宅・学校でのノートPC使用率だ。縦軸が学校にノートPCがあり自分も使用できるか・横軸が自宅にノートPCがあるか。日本はいずれの調査でも最下位である。下の画像を見てほしい。
上記画像は自宅へのノートPC普及率を調査したものだ。日本は唯一のマイナスとなっている。普及するどころか、家庭からPCが消えていっているのだ。
「スマホやタブレットがあるからPC要らないのでは?」といった意見が出てくることだろう。だが少し考えてほしい。それは他国も同じで、今やスマートフォンやタブレットは世界中で使用されているのだ。ではなぜ日本だけ顕著に家庭でのPC使用率が下がってしまったのか。
教育で使用しない限り普及はしないのか
文部科学省・国立教育政策研究所が作成した2018年PISAに関するPDFファイルがあったので、色々見てきた。その中にとても興味深く、家庭へのPC普及率が進まない理由垣間見えた。
上記画像は、授業や学校外でのデジタル機器利用に関する調査だ。一番下の10個の棒グラフに注目してほしい。★マークがOECD平均。
項目は以下の10項目。太字以外の項目はOECD平均を大きく下回っている。
- コンピュータを使って宿題をする
- 学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る
- 関連資料を見つけるため授業後にインターネットを見る
- 学校のウェブサイトから資料をDLしたりアップしたりする
- 学校のウェブサイトを見てお知らせを確認する
- Eメールを使う
- ネット上でチャットをする
- 1人用ゲームで遊ぶ
- 多人数オンラインゲームで遊ぶ
- インターネットでニュースを読む(時事問題)
日本がOECD平均を上回っているのは太字にしてある4項目だ。LINEや荒野行動、ポケモンGOのことなんだろうなと容易に想像できてしまうな。今ならドラクエウォークか。インターネットニュースを読む(時事問題)は、「お!時事問題に関心あるのか。素晴らしい」と錯覚してはいけない。スポーツニュースや芸能人の色恋沙汰も時事問題に含まれているのだろう。
短文の入力やゲームならスマホやタブレットでも問題ないだろう。しかし、レポートの作成やファイルの作成、様々な学術的な資料の閲覧となると、操作性や利便性から考えてまだまだPCに一日の長があるのは間違いないだろう。大人になってから働くにしても、IT技術者を目指すのであればPCに慣れておくのは良いことだ。技術者でなくとも、キーボート入力くらいは難なく行えるようにしたいところだ。
推察からわかったことは、教育現場へICTが普及しないと家庭への普及も進まないということ。どこかの小学校へ富士通のノートPCが導入されるニュースを最近みた。徐々に進んではいるようだが、スピード感が圧倒的に足りない。欲に憑りつかれたオッサンどもが贈収賄・天下りなどを行い、汚い金がどこかに流れてしまうくらいなら子どもたちの学習環境を整えてほしいなと思うのであった。
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