轟音を響かせながら 僕らの頭上をジェットがビューン! 飛んでいく方向をジーっと ただひたすら目で追う 「早く来いよ」 僕らより30mくらい先でツトムが ニタニタと誇りが入り混じった顔で僕らをあおる 勇気を出して底なし沼にかかる古タイヤを 一歩一歩慎重にカルガモの親子のように列をなし 地面が近づくと口元が緩む 先ほどまで見えていたツトムの姿はもう見えない 古タイヤを渡り切った先に三角木馬 「私を越えて見なさい」 優しく僕たちに話しかけてくる木馬は 見たことのない存在に思えた 「僕の頭は子泣き爺以上に硬い!」と 鉄柱に頭突きをかましてきたユウキ 二の足を踏んで中々前に進まない 大きく腕を振り上げるだけ 全然ジャンプしてくれない そんな動きじゃ届くわけがないのに 「待ちくたびれてしまったよ」 後ろの方からポツポツ聞こえてくる 三角木馬さえクリアすれば貴重な何かが 誰もが見たいし触りたい貴重な何かが そこに佇んでいると噂が流れ 野次馬ヨロシク多くの人が一発狙っている 埋め立て地に作られた子ども用の遊具の上で 辛抱たまらずユウキが後ろから突き飛ばされた グシャリと鈍い音がしたと思ったら 三角木馬の中に入っていったよ メリメリメリ…
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