明るく点けたはずの
部屋の電球は
僕を照らすことはなく
ひっそりと輝き
慎ましく照らされた
夜の尋ね人には
コップ一杯分の
水を差し出して
「足跡を消しながら歩いてきたのです」
男はささやいて
颯爽と飛び降りた
ビルの7階から
今僕は
月明りの下
1人佇みながらでも
君に想いを馳せる
僕があの日泣いていたわけを
聞かずに君は行く
大切な人を失くした
夏祭りの後
煙草で開いた甚平のポケット
小銭を入れてみる
音も立てず転がる
暗闇の中に
今僕は
月明かりの下
金を拾いながらでもいい
君に想いを馳せる
「足跡を消しながら歩いてきたのです」
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